2011年04月18日

黒猫物語 64ファージとキャンドル

100匹の黒猫物語

No.64 黒猫ファジーと黒猫キャンドルの場合


黒猫のファージーは被災地のネコでした。
食堂の路地裏を縄張りに
黒猫のキャンドルと夫婦ナカヨク暮らしていました。

満腹食堂のおばさんが
毎日ご飯をくれるので
ふたりはお腹が減ったことなんかありませんでした。

「ファジー。キャンドル。ご飯だよ。
 きょうはね。お刺身だあよー」
「ありがとう。
 ネコってさ。
 意外と新鮮な魚を食べられないんだよね。
 キャンドルのお腹の子猫も喜ぶよ」
「おばさん。いつもありがとうございます。
 わたしはきっと元気な子猫を産みます」
「たぁくさん食べるんだよ。
 必要なモノは用意すっからねえ。
 タオルでもお水でも。
 はらいっぱいたべるんだよお」

町のヒトビトはそれなりにしあわせそうでした。
あだ名や歴史や想い出やコンプレックスを抱えて
みんないっしょうけんめいに暮らしていました。

ある日突然町が揺れました。
おおきなおおきな地震です。
海も空も荒れ狂っています。

ファジーはキャンドルといっしょに逃げました。
ハシッテハシッテ高い山の高い樹にのぼりました。
「キャンドル。大丈夫か?」
「はい。でもノドが渇きました」
「そうか。この果実をたべよう」
ふたりは身を寄せあって震えていました。

翌日。
ふたりはお腹がすいたので満腹食堂に戻ろうと山を下りました。
「あれ?道をまちがえたかな?
 なにもないぞ。
 あ!めちゃくちゃだ。
 町が消えているぞ」

町もヒトも食堂もコンプレックスもなにもありません。
おおきなおおきな津波がなにもかも流したようです。
ふたりは途方に暮れました。

折れた電柱の張り紙を見つけました。
「黒猫レインをさがしています!!
 情報を集めています。
 またワケアリの黒猫さんは大歓迎!!
 カツオフレッシュパック食べ放題!!

 詳しくはレインハウスの詩人まで」

数日後。

シケモクを吸いながら詩人は言いました。
「少しは落ち着いたか?ハラペコはおさまったか?」
「ありがと。オレもキャンドルもラッキーだよ。
 ほんとうにここで暮らしてもいいのかな」
「無論だ。キャンドルはここで子猫を産むことになるけれど」
「嬉しいです。心細くないわ。
 他の黒猫さんもみなさん親切だから」

「ねえ詩人さん。
 テレビでね。放射能とかまた地震が来るって」
ファジーは不安げに訊ねました。
「ああ。らしーな。
 でもよ。レインハウスに限っては絶対に安全なんだ」
「絶対?」
「ああ。絶対にだ」
「どうして言い切れるの?」
「ここはな。世間とか現実からいちばん遠い場所なんだ。
 なんていうかな。
 天国や地獄や空(くう)とか
 そういったややこしい場所とは違うんだ。
 あのな。みんなの想いや思念や想像力にここは存在する」
「詩人さん。わたしにはすこしむずかしいわ」
「うむ。
 あのさ。キャンドル。
 オマエさんは暮らしていた町の景色を想い出せるか?」
「はい。満腹食堂も綺麗な夜空もみんな想い出せます」
「詩人。オレもだよ。あの町の海も月も路地裏もぜんぶわかるよ」
「それだよ。
 ファジーのアタマはオレの握りこぶしぐらいしかない。
 そのちいさなアタマの中におおきな海も町もはいってる。
 わかるかな?」

季節は春。
黒猫たちは日溜まりを分け合うように昼寝をします。
キャンドルは想います。
「わたしのちいさなアタマの中には
 満腹食堂のおばさんが暮らしている。
 きっと丈夫な子猫を産んでお知らせをしなくちゃ」

今日は詩人もひなたぼっこをしながら居眠り。
詩人の胸にファジーはそっと乗りました。
「詩人てばタバコくせいなあ。くふふ」
キャンドルは詩人の吸いかけのタバコを丁寧に消しました。






posted by カオル at 20:42| Comment(5) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
もし。

あなたがカオルやerosに対して
「カオルの生活を助ける義援金をカンパ」
「レコーディング資金を出資した」とする。

さて。

あなたはオオヤケのブログなどで
「わたしはカネだしました〜」と書くだろうか?

古い話だが
一時期話題になったブログがいまごろ腹が立ってきた。

ブイーン。

次回の黒猫物語は
キャンドルとファジーの子猫のお話です。
Posted by カオル(出資者) at 2011年04月19日 00:54
一時期話題になった? いつ?
どこのブログですか? お金出したって、書かれたのですか?
Posted by at 2011年04月19日 21:31
21:21の質問に簡単に答えるね。

カオル個人としては
この事件を「ひとつの教訓」として
「カオルに原因があった可能性」なども考えている。
だからみなさんとは違う所で
あくまでも「カオル個人で処理すること」と想っているんだ。

だから本意ではないのだけれど
「あの事件いまさら腹が立った」とかほざいた「責任」がある。

オレが認識している事実。

2010年の秋ぐらいから
「カオルさんの元恋人というヒトが
 ブログですごいことを書いている」
「カオルという主語はないけれど
 カオルのバンド erosのリンクがあるから
 どうしてもカオルさんをイメージする」
「カオルとの愛の日々や
 ほめたりちぎったりしている」
「他のファンに自慢しているか
 嫌がらせや悪口をいっている」

そういう情報が多く複数よせられた。

オレはどの情報が正しいのか
果たして「その責任をカオルが背負う義務はあるのか」
など困惑していた。

そして今年の2月ぐらいに
「わたしが erosのレコーディング資金を出した」と
そのブログに書いてあると情報をもらった。
あるヒトは
「そんな気持ちの悪いお金でレコーディングしないで。
 わたしが援助いたします」とも言ってくれた。

でも困惑する。

どうやら多くのヒトは
「ブログに書かれている彼女とカオルの関係」を
「100%本当のこと」が「大前提」になっているようだ。

まいったなあ。

オレが最大の被害者だああああと叫びたくなったり。
どうしてオレが巻き込まれんダヨみたいな意識もあった。

でも今は少し変わった。

「自分がそれを誘発した可能性の追求」なんかを
あまり魂を詰めずに(正解は根をつめる)
考えよう。

いつ死んでも後悔のないように
大切なことをそのときしかできないことを
懸命にやろう」

そんな風に想っている。

納得して頂いたら
「出資者ブログの話題」を避けて頂けるとありがたい。

あちょー
Posted by カオルだよ(簡単な説明) at 2011年04月20日 00:28
黒猫物語、楽しみにしてますね

先日我が家の倉庫に二匹の子猫が居ました

手の平サイズ…
目も開いたばかりで「みゃーみゃー」って「にゃおん」じゃないからね

どーしょげっそりって思い暫く時間を置いたら、ママ猫がやって来た

私の倉庫なら「自由に使ってね」って言うけど、婆ちゃんの倉庫だったから「きっと追い出されるから早めに次の場所見つけた方がいいよ」ってママ猫に言った翌朝引っ越ししてました

可愛かった揺れるハート赤ちゃん猫

大きくなったら遊びに来るかなって思うだけでワクワク((o(^-^)o))


カオルさん、気にしないで
わくわく行きましょ、生きましょ((o(^-^)o))
Posted by ぽん吉 at 2011年04月20日 19:43
子猫の鳴き声はオレには「にーにー」と聞こえる。
嬉しいよね。
オレもそれが縁で「そりた」ってネコを飼いはじめた。

手間じゃなかったら
「子猫用のご飯」を用意してあげるといいよ。
人間の食べ物はあまりよくない。
Posted by カオルだよ at 2011年04月21日 13:58
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